2015年3月3日火曜日

ヤスパースの時代

なぜ今頃ヤスパースの「精神病理学総論」なのか。
基本的には本のカバーに書かれているとおり、ヤスパースが提起した問題がいまに至るも全然解決されていない、ということが出版に踏み切った最大の理由です。
2013年は「精神病理学総論」の初版が出てからちょうど100年目ということもあり、いろいろなところでヤスパースが再評価されてきました。日本でも、ナシア・ガミー、加藤敏、村井俊哉などが積極的にヤスパースについて語っています。一方、DSMなど問題点が広く議論されるようになり、ヤスパースの読まれ方がここ数年で大きく変わってきた面も影響しているかもしれません。

『新・精神病理学総論』は、しかしながら、タイトルから連想されるほど固い本ではありません。
キャリアを積んだ精神科医が新米の若い精神科医に、現在の精神医学の状況や精神科医療について、昔話に触れながら説いていくという物語構成になっています。全体の半分くらいは、ヤスパースを手掛かりとして語られる、解題者(訳者)・山岸洋による精神医学論といってよいと思います。

この解題を読めば、きっとヤスパースを読んでみようという気になるだろうと思います。

解説ページには立ち読み用PDFリンクを貼っておきました。ぜひご覧になってみてください。